象 1987 ステンレス・木 100×82cm

象 紙・ミクスドメディア、コラージュ 1987年 89×59cm

ARTFAIRTOKYO2017

2017年3月 16 日(木)―3月19日(日)

富永 祥烟 TOMINAGA SHOEN

 

富永祥烟は1929年、愛知県名古屋市に生まれます。幼少の頃から書道を研鑽していた祥烟は、まだ10代の頃、上田桑鳩らの前衛書やジャクソン・ポロックのアクションペインティングに影響を受け前衛的な作品を制作します。1951年、22歳の頃、森田子龍の誘いにより、前衛書道の草分けともいえる機関誌「墨人」に名古屋サークル同人として発足時より参加し、誌上で多くの抽象的な作品を発表します。1955年の大阪でのゲンビ展では吉原治良や白髪一雄、元永定正等の考えに強い影響を受け、56年サンフランシスコでのネオ書道展に墨人のメンバーとともに参加しています。またイサム・ノグチや長谷川三郎、久松真一といった人物の考えに触れこれを大切にし、書にとどまらず国内外で幅広い分野の人物と交流を持ち、活動をしてきました。その後、皆が同じようになってしまうことに危機感を覚え1957年に墨人会を脱退した富永は、特定の書道団体に属することなく、60歳まで一般企業で仕事をしながら名古屋や東京、ニューヨークなどのギャラリーで作品を発表しています。

奇しくも最も尊敬する人物、井上有一が亡くなった1985年以降は文字の表現から離れ、書の感覚を応用したステンレスによる作品や、墨やクレヨンを使ったミックスドメディア絵画に傾倒します。

その後もすべての作品を象(かたどる)と題し、絵画的作品と字による作品を区別することなく並行して制作していき、2015年に行われた個展(SHUMOKU GALLERY)では、徐々に文字を主題とした作品を発表するようになります。

2016年の新作は、何日もイメージトレーニングをした後、墨を用い一気呵成に描き上げる手法で、数十年ぶりとなる大作に挑戦しています。

様々な分野の美術、思想的に重要な人物に触れながら、常に未来を見据え現代に必要な作品を追求している富永祥烟は、21世紀に作る美術表現として、墨による大字書を提示しています。古今の文字表現を研究し尽くし、80年以上にわたる技術の研鑽から生み出される作品は、白と黒で空間を分け、朱印で締めるという極めて東洋的な手法を用いながら、多くの先人に敬意を払いつつも現代美術としての新しい要素を感じさせる作品となっています。